荒野の死闘 無情の賞金稼ぎ(TV)/I Morti Non Si Contano ( 1968 )


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Video Cover (Italian)
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英語題名 Cry for Revenge
監督 Rafael Romero Marchent
脚本 Marco Leto / Vittorio Salerno / R . R . Marchent
撮影 Franco Delli Colli
音楽 Marchello Giombini
出演 Anthony Steffen , Mark Damon , Piero Lulli ,
Dianik Zurakowska , Raf Baldassarre, Maria Marti

 メインタイトル



荒野の死闘 レビュー
【ストーリー】

 フレッド(アンソニー・ステファン)とジョニー(マーク・ダモン)は2人組の賞金稼ぎ。流れ着いた町で保安官(ピエロ・ルリ)をだまして、ひと儲けを企むが、嘘がばれ牢獄に入れられた。2人はそこで実力者ロジャースと出会う。ロジャースはかつて人を殺して、その妻と再婚したのだが、その際捨てた赤子に持たせた銃をジョニーが持っていたのだ。
 銃の出自を尋ねるロジャース。ジョニーは、道で拾ったと言い放つ。「その男は息子だわ」と、確信した妻は、「あの子に何かあったら、私が許さないわよ」と夫に警告する。しかし、付近住民を虐殺して土地を片っ端から自分のものにするロジャースは、2人が邪魔で仕方がない。手下の保安官を使って、殺し屋を雇う。
 殺し屋は、牧場経営者フォレストを脅し、所有の牧場をロジャースに譲渡する契約書にサインさせると、一家を皆殺し。その足で町に向かう。行方しれずになった保安官に代わり、バッジを付けたフレッドとジョニーは決闘で一味を倒す。
 直後、フォレスト一家の死体を見つけたジョニーは、愛を感じていたフォレストの娘の死に激怒。「誰がやったんだ」と復讐を誓う(だけど、死体を見つける前に結果的に決闘でそいつら殺してるんだって)。そこに現れた保安官を2人が追う。銃弾を浴びて死んだフリをして落馬したフレッドは、保安官を捕らえ、互いの服を換えて敵陣まっしぐら。フレッドの服を着せられた保安官は、待ち伏せする悪党どもの一斉射撃を浴び、地獄へ堕ちた。
 死体を確認して慌てる悪党どもへ、フレッドとジョニーの挟撃が襲う。今度はジョニーが死んだフリ。ドリフのコント並みに保安官と同じリアクションで確認に来た悪党を撃ち倒す。高台からライフルで2人を狙うロジャース。その背を銃弾が貫いた。妻が「我が子」を守るために夫を射殺したのだ。
 それを見て、爆笑するフレッド。ジョニーの拳銃は、本当にただ道で拾っただけで、「もったいぶったロジャースの家族や冒頭の殺人劇には何の関係もなかった」のだ。そんな愛憎劇は最初からなかったかのように微笑み合う2人。エンドタイトル。

【解説】

 上のイタリアンポスター二つをクリックして、原寸大で見てみましょう。転がるステファン、棒立ちのステファン。この2枚がアンソニー・ステファンのガンプレイのすべてを物語っている、と言っていいでしょう。タイトルバックは、「ローマ時代の遺跡での撃ち合い」で始まります。このロケ地選びの無神経さがマカロニなのですが、最初から思いっきり野暮ったいです、ステファン。画面を黒い怪鳥のようなものが横切ったら、敵が倒れている。ああ、例の横っ飛びローリングステファン撃ちだったのね、と観客が理解してあげねばなりません。

 「荒野の棺桶」でもお馴染みの岩山での悪党待ち伏せでは、「キラーキッド」でも見せた、必殺の「目をつぶって一つ方向にライフル連射」の技を披露。背中を向けた相手を殺すのに、わざわざ高所から飛び降りながら射殺する、自らへのダメージもかなり大きそうな地獄撃ちまで決めてみせます。すっ飛んでこそステファン。宮崎駿の言葉を借りれば「飛ばないステファンはただのステファンだ」。飛べ、ステファン!

 女の子の口説き方を相棒に教える時も、コミカルな演技の努力などカケラも見せずに、決闘シンと同じ無表情ですべてを押し通すステファンに対し、お調子者を演じるダモンは、豊かな演技を見せつけます。惚れた女が虐殺された直後の怒りの芝居は演技豊か過ぎて、マカロニじゃなく新劇かと思わせるほど。文学座の研修生並みの強烈な自己発散に、安物感が漂います。

 しかし、本作の価値を決定的にしているのは、ある意味で「殺しが静かにやって来る」を超えた、衝撃のラストでしょう。冒頭で問題の拳銃や行方しれずになる赤子を思わせぶりなアップで撮影しておき、さらに妻が「息子」ジョニーに心を砕く場面を幾度も挿入。あまつさえ2人の対面シーンまで提出しておきながら、ステファンが爆笑して「何の関係もないんだよー」と宣言、映画のストーリー展開1本分を丸々チャラにしてしまいます。しかも、「息子」を守るために夫を射殺した妻のアップに哀愁のトランペットまでかぶせて哀愁を漂わせた上で一気に落とす、手の込んだ手法です。エンドタイトルにはジョンビーニのテーマ曲の代わりに、テレビのコント番組でかかる「ちゃんちゃん」という効果音入れてくれ、と考えたのは筆者だけではないでしょう。

 「荒野の死闘」は、賞金稼ぎ、復讐劇、親子の情といった、三文マカロニの要素を数多く持ち合わせながら、最後にその骨組みを主人公が全部パーにしてしまう、破壊的演出が行われた怪作として記憶されるべき一作かもしれません。無理に記憶しなくてもいいですけど。

【音楽】

 ローマ遺跡にやって来たならず者たちを迎える、あからさまなバロックオルガン。それにトランペットが絡みつく謎のマカロニ空間が形而上的なムードを盛り上げる中、ステファンの一撃を合図に高音トランペットのテーマ曲が爆発します。ジョンビーニと言えば、トランペットとエレキギターの掛け合いが一大特徴と言われますが、ほかの作曲家なら大げさに過ぎてなかなかやりそうにないフーガ調のバロック大会を臆面もなく展開してしまう厚顔さにも、そのダイナミズムの秘密があります。「西部悪人伝」でも、「バンジョーのテーマ」からメインテーマに持っていく際に、強引ともいえる教会オルガン節を挟みますし、やはりバロック時代からの楽器であるチェンバロを隠し味に聞かせるなど、クラシックへのアプローチが個性を際だたせます。

 本作でも、岩だらけの荒れ地になぜか種をまいている農民を、悪党が皆殺しにするシーンで、他の作品でもしょっちゅう使い回されるオルガンのアルペジオがかかりますが、そのカッコよさは、アメリカ製では考えられないイタリアンウエスタンの自由奔放な世界(言い換えるなら、何でもありのメチャメチャ)を表出しているといえるでしょう。

 ジョンビーニは決して、モリコーネのようなメロディメーカーでも、ニコライのような名アレンジャーでもありません。デマージの力強さと美しさが同居したシンプルな王道マカロニ節もありません。引き出しが少なく、どちらかといえば不器用な作家ではないかと思われます。しかし、他を寄せ付けぬ個性による力押しの、ロックに置き換えるなら第2期ディープパープルのような「偉大なるマンネリズム」が、マンネリ作品群に埋もれたマカロニファンの心を捕らえて離しません。

PINGUINO

Italian Fotobusta
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07/28/2001 3:40:59